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zoom RSS 憲法とは何か  長谷部恭男(岩波新書)

<<   作成日時 : 2006/05/14 16:44   >>

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 岩波新書改装版の初エントリーに加えられた。岩波が新書を改装するにあたって、その身のおき場所を探って苦労していたことは、TV番組で承知していたが、この本の性格もそれを反映してか、複雑である。
 長谷部恭男の、憲法(学?)入門書といえば、ちくま新書の「憲法と平和を問いなおす」が有名でもあり、また、事実、入門書として成功している。「憲法と平和を問いなおす」では、長谷部理論のエッセンスともいうべき理論の要点が簡潔に述べられていた。
 これに比較するとどうだろう。まず、本書は各章でとかれていることの連絡がうまくいっていないように感じられる。つまり、一の書物としては見通しがかならずしもよくない。このことが、入門書として、説かれている内容以前に、著者の主張を理解していくうえで、障害となりそうである。モノグラフィーなら、この程度の関連性でもよさそうだが、新書というのは、もっと、ぎゅっと凝縮したコアとなる主張が輪郭として浮かび上がってこないと、読者にアピールできないと思う。
 次に、近代「民主主義」国家の成立以後の戦争を、国家イデオロギー間の戦争と位置づけてしまうの(第2章)は、流石に「単純化」が過ぎるように感じる。戦争を、「憲法」体制の争いとみるのは、ヘーゲル的な国家主義の焼き直しになってしまうのではないか。ここでの、議論は、長谷部のいつもの明快な議論の韻律が、やや、調子を狂わしているようにも感じる。
 他方で、この本の醍醐味とは、なんだろう。自民党の改憲試案が提出され、どこが標的になっているのか明らかになった段階で、これに対応した理論的検討を行うための手引書としては申し分ない。そして、おそらく、著者と出版社の意図もそこにある。そうであるならば、各章末に著者がしるした「文献解題」が面白かったのも理由がある。意外と、力が入っていたのは、ここかもしれない。
 憲法学を手っ取り早く知りたい人には、おすすめできないが、憲法をヨリ深くシリタイ人への手引書としては良い本なのだろう。

☆☆☆

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